第8回 小児はりで大切な2つのこと – 足立繁久 – 森ノ宮校友会連載ブログ① 

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平成30年6月11日 
第8回 小児はりで大切な2つのこと – 足立繁久 – 森ノ宮校友会連載ブログ① 

第8回 小児はりで大切な2つのこと

今回の小児はり記事は、次の2つのテーマ「胎毒」と「その後の人生を考える小児はり」について紹介しようと思います。

私が行う小児はりは主に腹部への接触鍼を主に行います。もちろん背部や手足にも施術を行います。

しかし、メインはやはりお腹です。

なぜお腹がメインかというと、東洋医学の考え方に胎毒(たいどく)という概念があります。曲直瀬道三は彼の著作『假齢小兒方』で、小児の病因について「大半胎毒、小半は傷食…、」と言っており、子どもの症状のほとんどは胎毒によるものだとしています。

この胎毒に対して現代医学は否定的な立場であろうと思いますが、個人的には胎毒というみかたは実践的な考えだとみています。突発性発疹、風疹、麻疹、おたふく風邪、水疱瘡…などの小児科特有の一連の病気をみていると、胎毒とはなかなか上手い表現をしたものだと思います。ちなみに胎毒は物質ではなく体質を表現する言葉として考えれば良いわけですから、それほど荒唐無稽な考えでもないかと思う次第です。

胎毒とは簡単にいうと赤ちゃんの体に蓄積した毒(=邪)を指して言います。毒は排除しないといけません。今でいうデトックスです。その排毒を行う手段として、私の場合は背中よりお腹の方が扱いやすいので、結果的に腹部への治療が小児はりの主になっているのです。胎毒という小児特有の体質を理解することで、小児はりの適応も広がるのでは?と考えています。

小児はりの風景

そしてもう一つのテーマ「その子の人生を考える小児はり」です。

小児はりでは“ただ症状を治せば良い”というものではありません。その後の人生を考える…という視点が重要です。これは小児はりだけに限ったことではないでしょうが、残りの人生の長さでみると小児はりでは大事な視点です。

なにが大事かと言いますと、東洋医学の治療とはその人の体質を変えるものです。つまり、間違った方向に体質を変えてしまうと、その子の人生は大変なことになってしまいます。

小児はりに携わる者としてこの心構えは必要です。繰り返しますが、体質を改善するということは生き方を改善することに等しいです。そうなると、その子の人生は大きく影響を受けるのです。

ですので、私は小児はりに来てくれたお母さんにこのようなことを話すようにしています。

「この子はこういう性格・性分を持っているから、ここを伸ばしたら良いですよ。」

「でもその反面、こういう点が苦手分野ですから、お母さんがそっとフォローして誘導してあげると良いでしょうね。」

…と、こんな会話・アドバイスをしています。

体質を把握するということはその子の性格や性分も大体みえてきます。お子さんはシンプルな年代ですから、まだ分かりやすいのです。そして性格もその子の生き方に関わる大事なことです。

小児はりとは“次の世代を育てること”になる重要な仕事なのです。ですから、もう一つ加えますと、お母さん達には次のようなことも言っています。

「将来、この子がお母さんの言葉を必ず思い出す時がきます。」

「何時かっていうと、この子が子育てするときです。」

「まだまだ先の話…と思うかもしれませんが、お母さんにとってはお孫さんの健康に関わる大事なことですからね。今この時に伝えることって大事なんです。」

こんな風に言うと、妙に納得してくれることが多いです。

【鍼灸師 足立繁久(足立鍼灸治療院 / 鍼道五経会)】

続く。

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