女性ランナーの月経によるコンディショニング(後編)

◆卒業生投稿

2019年4月15日

女性ランナーの月経によるコンディショニング ~東洋医学的所見~ (後編)

月経が止まってしまった原因がはっきりしています。それはトレーニングです。
そして、この月経が止まるのは止まるべくして止まっています。 身体を正常に保とうとする為に意味があって止まっているのです。 よって、月経がくる・こないは放っておきます。その子の身体が現わすままにしておくようにします。 ただし、定期的に鍼灸治療に来させて瘀血にならないかを時々気をつけて確認すべきです。 気血を多く消費するランナーの多くが血虚の脈になります。それが瘀血の脈や瘀血の腹証が出ておれば、それは無月経の原因はトレーニングだと言えなくなります。 そこの判断をしなければトレーニングを止めても生理は来ません。実はトレーニングが原因ではなく、他の身体の異常からであったということになります。 よって、女性ランナーは定期的に診察し、瘀血が生じてないかを確認します。
これは当然パフォーマンスにも大きく関わってきますので、瘀血が生じた時はきっちりと治療を継続させるようにします。
  • 瘀血の脈  - 沈・弦・実 ※明らかに血虚の脈と違います。
  • 瘀血の腹証 - 下腹部の抵抗や右脇部の抵抗
この瘀血によって起こる症状は月経異常の他に、
  • 故障(いわゆるケガ)が長引く、繰り返す。
  • スポーツ貧血(血が巡らない、血液検査ではわからない)
  • 鬱症状・鬱傾向
運動性無月経は女性アスリートの三主徴の一つとされ、このほか利用可能エネルギー不足(以前は摂食障害)・骨粗鬆症(疲労骨折)が現在大きな問題として挙げられています。 今回は無月経について説明しましたが、他二点も無月経が原因の一つとして大きく関与してきます。 強いランナーとはただ速いだけではなく、心身共にイキイキとしています。 生理があるのは練習不足だからだ、身体が絞れてないからだなどとそのような発言を未だにされている指導者の考えは選手生命を断たせることを助長しているに等しいのです。 未だこのような考えが現場で起こっていることは事実であり、男性指導者や男性トレーナーが介入しづらい部分でもあります。しかし、この部分をしっかりアプローチすることが女性アスリートへの心身のケアになり、選手やその家族が治療家に対しての大きな信頼へと繋がります。 ランナーは選手生活を終えたあとも人生は続いていきます。 特に女性は妊娠を望むとき、心身の状態が整っていないといけません。 引退してから対処すればいいやではなく、選手のときから身体と向き合う時間、女性としての心身と向き合う時間がいかに大切なことか、彼女達と関わる中でじっくりと伝えていくことが女性鍼灸師としての役目であると日々の臨床を通じて感じています。 またこのような活動が選手生命の寿命にも繋がり、陸上競技界への還元・恩返しとなることを切に願います。

はり灸碧空 福森千晶(専/鍼灸学科41期)】